← お役立ち情報

インボイス対応の請求書の書き方|記載事項6項目と記入例

インボイス対応の請求書は、従来の様式に登録番号・税率ごとの区分・税率ごとの消費税額の3点を足せば整います。記載事項6項目とどこに何を書くかの記入例、端数処理と源泉徴収の書き方、登録していない場合の扱いまで整理します。

公開日:  最終更新日:

インボイス対応の請求書の書き方|記載事項6項目と記入例

インボイス(適格請求書)として扱われる請求書は、これまで使っていた様式に「登録番号」「税率ごとに区分した合計額と適用税率」「税率ごとに区分した消費税額」の 3 点を足せば形が整います。国税庁が示す記載事項は 6 項目で、手書きかエクセルかといった作成方法は問われません。つまずきやすいのは端数処理と源泉徴収の 2 か所ですが、どちらもルールは 1 行で言えます。

この記事でわかること

  • 記載事項 6 項目と、請求書のどこに何を書くかの記入例
  • 登録番号・税率区分・消費税額をそろえる 5 ステップの手順
  • 端数処理は「一の適格請求書につき、税率ごとに 1 回」というルールと、認められない書き方
  • 源泉徴収がある場合の書き方と、登録していない場合の扱い

国税庁のタックスアンサーと Q&A の原文にあたりながら、記載事項から順に見ていきます。

適格請求書(インボイス)の記載事項 6 項目【記入例つき】

適格請求書として扱われるには、次の 6 項目の記載が必要とされています。見慣れた請求書の項目に、制度で加わった項目を足したものです。

適格請求書(インボイス)の記載事項6項目のチェックリスト。発行者名と登録番号・取引年月日・取引内容・税率ごとの合計額と適用税率・税率ごとの消費税額・宛先

1 枚の中での居場所も決まっています。フリーランスの制作案件を例に並べました。

記載事項請求書のどこに書くか記入例
① 発行者の氏名または名称と登録番号右上の発行者欄ヤマダデザイン 山田 太郎/登録番号 T1234567890123
② 取引年月日明細行の日付欄。月締めなら対象期間2026年10月15日/2026年10月1日〜10月31日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目はその旨)明細の品目欄と欄外の注記Webサイト制作費 一式/「※印は軽減税率8%対象」
④ 税率ごとに区分した合計額と適用税率明細の下の合計欄10%対象 23,455円/8%対象 12,000円(税抜)
⑤ 税率ごとに区分した消費税額④ の各行に併記消費税 2,345円/消費税 960円
⑥ 交付を受ける相手の氏名または名称左上の宛名欄株式会社○○ 御中

(出典: 国税庁「No.6625 適格請求書等の記載事項」令和7年4月現在・2026-08-28 確認。記入例は架空の設例です)

このうち ①④⑤ の 3 点が、インボイス制度で新たに必要になった部分です。請求書実務を「書く→送る→保存する」の順に確認したい方は個人事業主の請求書ガイドもあわせてどうぞ。

では、この 6 項目を実際の 1 枚に落とすとき、どの順番で手を動かせばよいのでしょうか。

インボイス対応の請求書の書き方【5 ステップ】

手順は、登録番号を書く → 税率で区分する → 税率ごとの合計と税額を書く → 端数処理を 1 回にする → 源泉徴収を差し引く、の 5 ステップです。すでにテンプレートやエクセルを使っている方は、どこを足せばよいかの確認にどうぞ。

インボイス対応請求書の記載手順5ステップ(登録番号・税率区分・税額記載・端数処理・源泉徴収)の図解

1. 発行者欄に登録番号(T+13桁)を書く

まず、自分の氏名や屋号を書く欄に登録番号を加えます。構成は、法人番号を持つ課税事業者なら「T」+法人番号(数字 13 桁)、それ以外の事業者なら「T」+数字 13 桁です。個人事業主の 13 桁にマイナンバーは使われず、法人番号とも重複しない番号が振られます(出典: 国税庁インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト「登録番号とは」・2026-08-28 確認)

この番号があることで、取引先は受け取った請求書を仕入税額控除の証憑として扱えます。登録していない事業者は記載できません。番号は登録通知書か公表サイトで確認できます。

2. 品目を税率ごとに分けて書く

明細欄では、品目を税率ごとに区分します。役務の提供はほとんどが標準税率 10% ですが、飲食料品の立替や物販が混ざると軽減税率 8% の行が生まれます。その場合は対象の品目に「※」などの記号を付け、欄外に「※印は軽減税率 8% 対象」と示す書き方が一般的です。

取引が 10% だけでも、「10% 対象」という適用税率の表示は記載事項に含まれます。合計欄に税率を明記しておきましょう。

3. 税率ごとの合計と消費税額を書く

次に、税率ごとの合計額消費税額を書きます。ここがインボイスの中心です。税抜で明細を積み上げているなら、合計欄はこうなります。

合計欄記入例
10% 対象(税抜)23,455 円
消費税(10%)2,345 円
8% 対象(税抜)12,000 円
消費税(8%)960 円
合計38,760 円

税抜で示しても税込で示しても要件は満たせるとされています(前掲 No.6625 の「税込対価(又は税抜対価)の額」)。大事なのは、どちらの方式かが読み手に分かることと、税率ごとに行が分かれていることです。一定期間の納品を 1 枚にまとめる場合の合計欄は、合計請求書(月締め)の書き方で扱いました。

4. 端数処理は税率ごとに 1 回だけ行う

消費税額を計算すると、円未満の端数が出ることがあります。国税庁は、適格請求書の消費税額等に 1 円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに 1 回の端数処理を行う必要があるとしています。丸め方は切上げ・切捨て・四捨五入などから任意に選べますが、「一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1 円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません」と明記されています(出典: 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問57 令和6年4月改訂・2026-08-28 確認)

上の表の 10% 対象を 3 行に分けてみます。明細が 12,345 円・6,789 円・4,321 円(税抜)なら、正しい書き方は合計 23,455 円に 10% を掛けて 2,345.5 円、切り捨てて 2,345 円です。一方、行ごとに 1,234 円・678 円・432 円と切り捨ててから足すと 2,344 円で、1 円ずれます。この 1 円が、認められる書き方と認められない書き方の分かれ目です。明細行ごとに消費税列を持たせているエクセルなら、税率ごとの合計に消費税を掛ける形へ組み替えると 1 回で収まります(組み替え方はエクセルで請求書を作る手順)。

5. 源泉徴収がある場合は差引後の金額まで書く

原稿料・講演料や、弁護士・公認会計士などへの報酬は、支払う側が源泉徴収を行う取引です(出典: 国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」令和7年4月現在・2026-08-28 確認)。この場合、消費税額のあとに「源泉徴収税額」の行を加え、差引後の請求金額を示しておくと、取引先の処理も自分の入金確認もそろいます。

合計欄(源泉徴収がある場合)記入例
10% 対象(税抜)150,000 円
消費税(10%)15,000 円
税込合計165,000 円
源泉徴収税額(150,000 円 × 10.21%)▲ 15,315 円
差引ご請求金額149,685 円

源泉徴収の対象になる金額は、原則として消費税等を含めた支払金額の全部です。ただし、請求書等で報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えないとされています(出典: 国税庁「No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税」令和7年4月現在・2026-08-28 確認)。上の例が ▲15,315 円なのは、区分記載した税抜 150,000 円を対象にしているためです。消費税額を区分するインボイス対応の基本が、そのまま源泉徴収にも効いてきます。

計算式や対象になる報酬の範囲はフリーランスの源泉徴収税額の計算方法にまとめました。対象に当たるかは報酬の種類で変わるため、迷う場合は税理士・税務署に確認してください。

記載事項がそろった様式で作るメールアドレスの入力もアカウント作成も不要。登録番号の欄と税率ごとの消費税額の集計が最初から様式に入っていて、ブラウザで開いてそのまま作成・PDF 保存できます。スイスイ請求を開く →

手順どおりに書いたつもりでも、差し戻される箇所はだいたい決まっています。

インボイス対応の請求書でよくある間違い

差し戻しの原因になりやすいのは、登録番号の書き忘れ・税率区分の漏れ・端数処理の誤りの 3 点です

いちばん多いのが、登録番号の書き忘れと桁数のミスです。番号がないと取引先はインボイスとして扱えないため、「T」で始まっているか、続く数字が 13 桁あるかは毎回目で追う価値があります。屋号のロゴを入れ替えたときに登録番号だけ消える、という事故もあります。

次に、消費税額を税率ごとに分けず、合計に対して 1 つだけ書いてしまうケース。10% だけの取引でも「10% 対象」という表示が要ります。

3 つ目が、ステップ 4 で見た行ごとの端数処理です。エクセルのテンプレートは明細行に消費税の列を持っているものが多く、そのまま使うとこの形になります。流用するときは、この列の扱いを最初に確かめておきましょう。

このほか、8% 対象の品目を判別できない書き方や、登録していないのに登録番号らしき番号を書くケースもあります。いずれも様式を一度整えてしまえば、毎回悩まずに済みます。

ここまでは、登録番号を持っている前提で見てきました。では、登録していない場合はどう書けばよいのでしょうか。

登録していない場合の書き方と、取引先が受けられる経過措置

インボイス発行事業者として登録していない事業者は適格請求書を発行できませんが、請求書そのものは従来どおり発行できます。必要なのは、①書類の作成者の氏名または名称 ②取引を行った年月日 ③取引の内容(軽減税率の対象ならその旨)④税率ごとに合計した税込価額 ⑤交付を受ける事業者の氏名または名称、の 5 項目。登録番号と税率ごとの消費税額がない形です。

この 5 項目は、取引先(買い手)が経過措置の適用を受けるために保存する請求書等の記載事項と同じです。免税事業者等からの課税仕入れは仕入税額相当額の一定割合を控除でき、その割合は次のように縮小していきます(出典: 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問113 令和8年4月改訂、国税庁「令和8年度税制改正特集」・2026-08-28 確認)

免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除の経過措置。控除できる割合は2026年9月まで80%、以降70%・50%・30%と段階的に縮小し、2031年10月以降は終了(国税庁Q&A問113より作図)

令和 8 年度の税制改正でこの経過措置は 2 年延ばされ、控除できる割合も 7 割・5 割・3 割へ見直されました。また、同じ免税事業者等からの課税仕入れが税込で年 1 億円(改正前は 10 億円)を超える部分は対象外とされ、この 1 億円という金額は令和 8 年 10 月 1 日以後に開始する課税期間から適用されます(前掲 令和8年度税制改正特集)。

売り手の側から見ると、2026 年 10 月以降は取引先が控除できる額が 80% から 70% へ下がるということです。取引条件の話が出たときのために、現在地は押さえておきましょう。登録していない立場での記載例や消費税相当額の書き方は免税事業者の請求書の書き方で扱いました。登録すべきかどうかは取引先の構成や売上規模で変わるため、迷う場合は税理士や所轄の税務署にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. インボイス対応の請求書で消費税額はどう書けばよいですか?

税率ごとに区分して書きます。10% 対象と軽減税率 8% 対象を分け、それぞれの合計額と消費税額を行を分けて示します。円未満の端数は、一の適格請求書につき税率ごとに 1 回だけ処理する必要があるとされているため、明細行ごとではなく税率ごとの合計にまとめて処理します(前掲 Q&A 問57)。

Q2. 源泉徴収がある場合、請求書にはどう記載しますか?

消費税額を示したあとに「源泉徴収税額」の行を設け、「税込合計 − 源泉徴収税額 = 差引ご請求金額」の形で、振り込まれる金額が分かるようにします。報酬額と消費税額を明確に区分していれば、税抜の報酬額のみを源泉徴収の対象としても差し支えないとされています(前掲 No.6929)。

Q3. 登録番号(T+13桁)はどこに書けばよいですか?

自分の氏名や屋号など、発行者の情報を書く欄です。法人番号を持つ課税事業者は「T」+法人番号、それ以外は「T」+数字 13 桁という構成です(前掲 公表サイト)。登録していない場合は記載できません。

Q4. 手書きやエクセルの請求書でもインボイスに対応できますか?

対応できます。適格請求書かどうかは作成方法ではなく記載事項で決まるため、登録番号・税率ごとの区分・消費税額がそろっていれば手書きでも構いません。ただし手作業を重ねるほど、ステップ 4 の 1 円のずれは起きやすくなります。

Q5. 発行した請求書の控えは、どう残しておけばよいですか?

適格請求書を交付した側は、その写しを保存することとされています。メールや PDF で渡した分は電子データのまま残す扱いになるため、電子帳簿保存法での請求書の保存方法を確認してください。後から探せるファイル名の付け方は請求書PDFのファイル名の付け方にまとめています。

まとめ: 3 点を足して、端数処理を 1 回にすれば形は整う

  • 記載事項は 6 項目。従来の様式に「登録番号」「税率ごとの区分と適用税率」「税率ごとの消費税額」の 3 点を足せば形になる
  • 登録番号は法人番号を持つ課税事業者なら「T」+法人番号、それ以外は「T」+数字 13 桁。登録していなければ記載できない
  • 端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに 1 回。明細行ごとに処理して合計する書き方は認められない
  • 源泉徴収がある取引では控除の行を設け、差引後の請求金額まで示す。消費税を区分していれば税抜の報酬額が対象になる
  • 登録していない場合は 5 項目の請求書を発行できる。取引先の控除割合は 2026 年 10 月から 70% になる

次のステップ

  1. 発行者欄の登録番号が「T」+13 桁で入っているか確認する
  2. 合計欄が税率ごとに分かれ、消費税額が合計欄で 1 回だけ計算されているか見直す
  3. 源泉徴収の対象になる取引があれば、差引後の請求金額が分かる行を足す

記載事項をそろえた請求書を毎月作るなら

記載事項の確認を毎回やり直さずに済ませたいなら、弊社のスイスイ請求のように様式が最初からインボイスに対応したツールを使う手もあります。登録不要・インストール不要で、ブラウザからそのまま作成・PDF 保存に進めます。登録番号の記載欄があり、数量と単価を入れると税率ごとの合計と消費税額が合計欄でまとめて計算されるため、行ごとの端数処理になりません。作った請求書は端末に残り、翌月は前回の内容をもとに作り直せます。無料で作れるのは月 10 件までで、料金や無料の範囲はアプリ内の表示が最新です。

もちろん、エクセルやテンプレートを自分で整える方法もあります。登録の要否や履歴の残り方を含めた選び方は請求書を無料・登録不要で作成する方法にまとめました。使い方に照らして選んでみてください。

関連記事


登録ゼロ・開いて1分、今日の1枚がもう出せる。メールアドレスもアカウント作成も不要。ブラウザで開いて、そのまま作成・PDF保存。登録不要で請求書を作る →毎月10件まで無料・勝手に有料にはなりません

※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。制度の個別の取り扱いは国税庁の案内や税理士等の専門家にご確認ください。