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請求書の分割払いの書き方|着手金・中間金・残金の記載例と番号

請求書の分割払い(分割請求)は、着手金・中間金・残金のようにひとつの案件の対価を複数回に分けて請求する方法です。各回に何回目かと支払期日を書く記載例、請求書番号の採番、消費税の端数処理で合計がずれる理由まで整理します。

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請求書の分割払いの書き方|着手金・中間金・残金の記載例と番号

請求書の分割払い(分割請求)は、ひとつの案件の対価を着手金・中間金・残金のように複数回の請求書に分けて発行する方法です。分割していても 1 枚ずつが独立した請求書なので、発行日も請求書番号もその都度新しく採番し、「今回が全体の何回目か」と支払期日を各回の請求書に書き添えます。金額の割り振りと請求のタイミングを契約時に合意しておくこと、消費税額の端数処理が請求書の枚数だけ繰り返されることの 2 点が、通常の請求書と違って気をつかうところです。

この記事でわかること

  • 分割請求(着手金・中間金・残金など)が使われる場面のパターン
  • 各回の請求書の書き方の手順と、回数・支払期日の書き添え方
  • 契約金額 66 万円を 3 回に分けたときの記載例
  • 端数処理で合計が契約金額とずれる理由と、つまずきやすい 4 つのポイント

国税庁のインボイス制度の案内をもとに、契約段階の合意から各回の請求書の書き方まで順番に見ていきます。

分割請求(分割払いの請求書)が使われる場面

分割請求とは、ひとつの契約・案件の対価を、複数回の請求書に分けて請求する方法です。ここでいう分割払いは、クレジットカードのように支払回数を消費者が選ぶ話ではなく、事業者どうしが契約で決めた区切りで請求書を分けることを指します。個人事業主・フリーランスの実務でよく使われるのは、次の 3 つのパターンです。

もっとも多いのが着手金・中間金・残金の 3 回パターンでしょう。制作開始時に着手金、進行中に中間金、納品完了後に残金を請求する形で、Web サイト制作やデザイン案件でよく見られます。比較的小規模な案件では、開始時と完了時に分ける着手金・残金の 2 回パターンも使われます。長期の契約を月単位で区切り、毎月一定額を請求する月ごとの分割というパターンもあります。

分割請求を使う理由は、双方に利点があるからです。受注側は、全額を納品後にまとめて受け取るより、途中で一部を受け取れるほうが資金繰りが安定します。外注費や素材費のように制作の途中で発生する立て替え払いを、着手金・中間金の入金でまかなえるのは実務的に大きい点です。発注側にとっても、まとまった支出を数回に分散できます。なお、月内の複数の取引を 1 枚にまとめる「合計請求書(月締め請求書)」は、複数を 1 枚に集める点で分割請求と方向が逆です。まとめ方は合計請求書(月締め)の作り方で解説しています。

では、各回の請求書には、通常の請求書と比べて何を足せばよいのでしょうか。

分割請求書の書き方(5 つの手順)

分割請求書に特別な様式はなく、通常の請求書に「何回目か」と「その回の支払期日」を足すのが基本です。手順は次の 5 つになります。

着手金・中間金・残金の3回に分けて請求書を発行する分割請求の流れ。契約後・制作開始前に着手金、中間成果の確定時に中間金、納品完了後に残金を請求し、各回の請求書に何回目か・全何回か・対象範囲を書く

1. 契約時に分割の回数・金額・時期を合意する

分割請求の実体は請求書ではなく契約側にあります。案件の契約段階で、全体の金額をどう分けるか(例: 着手金 30%・中間金 30%・残金 40%)と、それぞれの請求タイミングを取引先と合意しておきます。ここが曖昧なまま進めると、「いつ・いくら請求されるのか分からない」という行き違いのもとになります。見積書の段階で分割の内訳を書いておくと、そのまま各回の請求書に引き継げます(見積書から請求書を作る流れ)。

2. 各回の請求書に「全体の何回目か」を書く

通常の記載事項に加えて必要なのは、今回が全体のうち何回目の請求かが分かる表示です。「着手金(1/3)」「中間金(2/3)」のように、件名や品目欄に回数を書くと、取引先が全体の進捗と請求の位置づけを把握しやすくなります。契約時に合意した全体の契約金額も、参考情報として備考欄に添えておくと親切です。

3. 発行日と請求書番号は各回ごとに新しく採番する

分割請求であっても、請求書としては独立した 1 枚 1 枚の書類です。発行日はそれぞれの請求タイミングの実際の日付にし、請求書番号も使い回さず、通常の請求書と同じように新しく採番します。同じ番号を複数回使うと、取引先と自分の双方の管理台帳で照合しづらくなります。枝番で管理する場合は「2026-014-1」「2026-014-2」のように、案件番号と回数を分けて読める形にします。

4. 各回の請求書でインボイスの記載事項を満たす

インボイス(適格請求書)として扱うには、分割した回ごとに記載事項をそろえる必要があります。適格請求書の記載事項は、発行者の氏名または名称および登録番号、取引年月日、取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、税率ごとに区分して合計した税込または税抜の対価の額および適用税率、税率ごとに区分した消費税額等、交付を受ける事業者の氏名または名称の 6 項目です(出典: 国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等の記載事項」令和 7 年 4 月 1 日現在法令等・2026-08-28 確認)。1 回目にだけ登録番号を書いて 2 回目以降を省く、といった書き方はできません。記載事項の全体像はインボイス制度対応の請求書の書き方で整理しています。

5. 支払期日を各回ごとに日付で書く

契約時に分割の時期を合意していても、請求書には各回ごとの支払期日を改めて日付で書きます。「口頭やメールで伝えた予定」と「請求書に書かれた支払期日」がずれると、支払い漏れや督促の手間につながります。「お支払期限: 2026年10月31日」のように具体的な日付にすると、取引先の経理処理でも迷いが生じません。

以上の 5 点がそろえば、あとは通常の請求書と同じです。分割請求書をメールやチャットで送るときに、「本日、○○案件の中間金(2/3)をご請求いたします」と本文でも触れておくと、取引先が受け取ってすぐに位置づけを把握できます。回数が増えるほど何回目まで出したかが曖昧になりやすいので、月末に請求書の出し忘れチェックリストで未発行分を見ておくと安心です。

手順が分かったところで、実際の金額に落とすとどうなるかを見てみます。

着手金・中間金・残金の記載例(契約金額 66 万円の場合)

分割の割合は税抜の契約金額に対して決め、各回の請求書で割り振った金額に対する消費税額を計算します。契約金額 66 万円(税込・すべて標準税率 10%)の Web 制作案件を、着手金 3 割・中間金 3 割・残金 4 割で分割請求する場合の例です。

表は横にスワイプできます(最初の列は固定表示)→

内容税抜金額消費税(10%)税込金額請求のタイミング
1 回目着手金(30%)¥180,000¥18,000¥198,000契約後・制作開始前
2 回目中間金(30%)¥180,000¥18,000¥198,000デザイン確定・実装着手のタイミング
3 回目残金(40%)¥240,000¥24,000¥264,000納品完了後
合計¥600,000¥60,000¥660,000

それぞれの請求書には、金額だけでなく「着手金(1/3)」「中間金(2/3)」「残金(3/3)」のように今回の位置づけを書き、備考欄に契約金額の合計(税込 66 万円)を添えておくと、取引先が全体の進捗と請求の対応関係を確認しやすくなります。品目欄にも「○○サイト制作一式(着手金・全体の 30%)」のように何の請求かを書いておくと、後から見返しやすくなります。

この例は割り切れる金額を選んだので、3 回の合計はきれいに契約金額と一致しました。実務でつまずきやすいのは、むしろ割り切れないときです。

分割請求でつまずきやすい 4 つのポイント

分割請求の失敗は、書き方そのものより「取引先の経理で処理が止まる」という形で表れます。実務で起きやすいのは次の 4 つです。

① 今回がどの分の請求か分からない

もっとも多いのが、全体の契約金額だけを書いて、今回が着手金なのか残金なのかを書いていないケースです。取引先の経理担当者は案件の進行を知らないことが多く、同じ相手から似た金額の請求書が複数届くと、二重請求を疑って処理が止まります。手順 2 の「何回目か」の表示は、自分のためというより取引先の処理を止めないための表示です。

② 請求書番号を使い回してしまう

「同じ案件だから同じ番号でよい」と考えて、2 回目・3 回目を同じ番号で発行してしまうケースです。取引先の会計システムでは請求書番号が照合キーになっていることが多く、重複すると入金消込の突き合わせができません。自分の側でも入金がどの回の分かをたどれなくなります。

③ 端数処理で合計が契約金額とずれる

適格請求書の記載事項である消費税額等に 1 円未満の端数が生じる場合、端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに 1 回行います。切上げ・切捨て・四捨五入のどの方法にするかは任意とされています(出典: 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問 57 令和 6 年 4 月改訂・2026-08-28 確認)。分割請求では請求書が複数枚になるため、この端数処理も回数分だけ発生します。税抜 50 万円の案件を 3 等分し、各回で切り捨てた場合は次のようになります。

表は横にスワイプできます(最初の列は固定表示)→

税抜金額消費税(10%・切捨て)税込金額
1 回目¥166,666¥16,666¥183,332
2 回目¥166,667¥16,666¥183,333
3 回目¥166,667¥16,666¥183,333
3 回の合計¥500,000¥49,998¥549,998

税抜金額の合計は 50 万円ちょうどですが、消費税額の合計は 49,998 円で、1 枚にまとめて請求した場合の 50,000 円より 2 円少なくなります。これは端数処理を 3 回行った結果なので、計算間違いではありません。とはいえ契約金額と入金合計がずれるのは事実なので、最終回で端数を調整するのか、そのままにするのかを契約時に決めておくと、後の問い合わせを避けられます。個別の処理に迷う場合は税理士へご相談ください。

④ 着手金を受け取った時点で売上に計上してしまう

請求書の枚数と、消費税や所得税の計上時期は別の物差しです。消費税では、工事代金の前受金を受け取ったり前払金を支払ったりしていても、その受取や支払の時期に関係なく、実際に引渡しやサービスの提供があった時が原則として売上げや仕入れの時期になるとされています(出典: 国税庁 タックスアンサー No.6165「前受金や前払金などがあるとき」・2026-08-28 確認)。着手金を受け取った時点で、その分を売上に立てる処理をしていると、期をまたぐ案件で申告の内容がずれる場合があります。請求書の様式は各回で整えつつ、帳簿上の計上時期は引渡しやサービス提供の時点で考える、と分けて理解しておくと混乱がありません。

分割請求のたびの宛先・品目の入力し直しや通し番号の管理を減らしたい場合は、登録不要でそのまま分割請求を作れるツールで、着手金の請求書の内容を引き継いで次の回を作る方法もあります。

支払期日の決め方と、各回の控えの残し方

支払期日は取引の当事者間の合意で決めるのが基本ですが、フリーランスへの業務委託には法律上の上限があります。フリーランス法により、業務委託の発注事業者は、報酬の支払期日を発注した物品等を受領した日から起算して 60 日以内のできる限り短い期間内で定め、定めた支払期日までに報酬を支払うこととされています(出典: 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」・2026-08-28 確認)。この支払期日の義務が課されるのは発注側のうち一定の要件を満たす事業者で、起算点は請求書の発行日ではなく受領日です。分割請求の各回がこのルールにどう当たるかは取引の実態によって変わるため、対象の範囲と数え方は請求書の支払期日はいつ?で確認したうえで、個別の当てはめは公正取引委員会の案内でご確認ください。

分割請求では同じ取引先の請求書が数か月にわたって並ぶため、控えの整理も通常より重要です。電子データでやり取りした請求書は、送った側もデータのまま保存する必要があります。保存の要件と進め方は電子帳簿保存法での請求書の保存方法にまとめました。ファイル名を「20260930_○○株式会社_請求書_2026-014-2」のように日付・取引先・番号でそろえておくと、3 回分が一覧で並んだときに取り違えません。名前の付け方は請求書のファイル名の付け方で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 請求書を分割して発行することに、法律上の問題はありませんか?

請求書を何回に分けて発行するかは、原則として取引の当事者間の合意で決める商慣行の範囲です。ただし、契約と異なる分け方を一方的に行うと、取引先の経理処理に支障が出る場合があります。契約書または見積書に分割の回数・金額・時期を残しておくのが実務的です。

Q2. 分割請求では、請求書番号を使い回してもよいですか?

避けたほうが安心です。分割請求であっても 1 枚ずつが独立した請求書のため、通常の請求書と同じように新しく番号を採番します。同じ案件であることを示したい場合は、案件番号に枝番を足す形にすると、使い回さずに関連が分かります。

Q3. 分割請求書には全体の契約金額を書く必要がありますか?

インボイスの記載事項としては必須ではありませんが、備考欄などに全体の契約金額と「今回が何回目か」を書き添えると、取引先が全体像を把握しやすくなります。

Q4. 分割請求と、毎月の月額契約の請求は同じ考え方でよいですか?

考え方は少し異なります。分割請求はひとつの案件の対価を複数回に分けるもので、各回の合計は最初の契約金額に収まります。一方、顧問料のように毎月同じ金額を継続して請求する形は、案件ではなく期間に対する請求です。書き方は毎月定額の請求書の作り方で解説しているので、案件の性質に応じて使い分けてください。

Q5. 着手金の請求書をもとに、中間金・残金の請求書をラクに作る方法はありますか?

同じ取引先・同じ案件の請求書を複製して作成できるツールを使う方法があります。宛先・品目・登録番号を毎回入力し直さずに済み、履歴が残る形にしておけば「今回が何回目か」を確認しながら次の 1 枚を作れます。

まとめ: 分割請求は「何回目か」と「支払期日」を各回に書けば形が整う

  • 分割請求は、着手金・中間金・残金のように、ひとつの案件の対価を複数回の請求書に分けて請求する方法
  • 契約時に分割の回数・金額・時期を合意し、各回の請求書に「全体の何回目か」を書く
  • 発行日と請求書番号は各回ごとに新しく採番し、使い回さない
  • インボイスの記載事項は回ごとにそろえ、消費税額の端数処理は 1 枚につき税率ごとに 1 回行う
  • 端数処理を回数分行うと合計が契約金額とわずかにずれるため、調整の要否を先に決めておく

次のステップ

  1. 案件の契約時に、分割の回数・金額・時期と、端数が出たときの調整方法を取引先と合意しておく
  2. 各回の請求書に「全体の何回目か」(例: 中間金 2/3)と支払期日を日付で書く形式を決める
  3. 発行日・請求書番号を各回ごとに新しく採番し、控えのファイル名も同じ規則でそろえる

分割請求を毎回同じ形で出すなら

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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。制度の個別の取り扱いは国税庁の案内や税理士等の専門家に、フリーランス法の当てはめは公正取引委員会の案内や弁護士等の専門家にご確認ください。

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