請求書の支払期日はいつ?|フリーランス法の60日ルールと数え方
請求書の支払期日は取引先と合意した支払サイトで決め、フリーランスへの発注では受領日から起算して60日以内が上限です。月末締め翌月末払いが収まる理由と支払サイト別の数え方、入金がないときの確認手順を整理します。
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請求書の支払期日は、取引先と合意した支払サイト(月末締め翌月末払いなど)で決まり、請求書にはその合意に沿った具体的な日付で記載します。ただし、フリーランスへの発注には法律上の上限があります。フリーランス法により、発注事業者は成果物を受け取った日から起算して 60 日以内の、できる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに支払うこととされています。日数は受け取った日を 1 日目として数え、月末締め翌月末払いのような月単位の締め方は、31 日の月で 60 日を数日超えても問題ない扱いです。
この記事でわかること
- 支払期日の基本的な決め方(取引先との合意・支払いサイト)
- フリーランス法の「60日ルール」の内容(原則・期日未設定時・60日超過時・再委託の例外)と対象になる発注者の範囲
- 支払サイト別の数え方(月末締め翌月末払いが問題ない扱いとされる理由)
- 支払期日を過ぎても入金がないときの確認の仕方
公正取引委員会のフリーランス法特設サイトと Q&A の現行の案内をもとに、順番に見ていきます。
支払期日の基本: 誰がどう決めるのか
支払期日は「請求書の日付から◯日後」のように法律で一律に決まっているのではなく、取引の当事者間の合意(契約)で決めるのが基本です。実務では、次のような支払いサイトがよく使われます。
- 月末締め翌月末払い: その月の納品分をまとめて、翌月末に支払う。もっとも一般的な形のひとつです
- 月末締め翌々月末払い: 締めから支払いまでが約 2 か月。後述の 60 日ルールとの関係で見直しが必要になる場合があります
- 納品後◯日以内: 単発案件などで、納品日を起点に期日を決める形です
請求書には、この合意に沿った支払期日を「お支払期限: 2026年9月30日」のように具体的な日付で記載します。「発行から30日以内」のような書き方よりも、日付で書くほうが取引先の経理処理でも迷いが生じません。月内の複数納品を 1 枚にまとめて月末締めで請求する形は合計請求書(月締め)の作り方で、顧問料のように毎月同じ金額・同じ期日で請求する形は毎月定額の請求書の作り方で解説しています。見積書の有効期限をそのまま残さず支払期日へ書き直す手順は、見積書から請求書を作る流れにまとめました。
では、この支払いサイトの合意は、どこまでも自由に決められるのでしょうか。フリーランスへの発注には、法律で上限が定められています。
フリーランス法の「60日ルール」とは
2024 年 11 月 1 日に施行されたフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、フリーランスへ業務委託をする発注事業者に対し、報酬の支払期日を、発注した物品等を受領した日から起算して 60 日以内の、できる限り短い期間内で定め、定めた支払期日までに支払うことを義務付けています(公正取引委員会 フリーランス法特設サイト・2026-08-26 確認)。
ポイントは次の 4 つです。
- 原則: 発注事業者は、成果物を受け取った日(役務の提供を受ける委託では、提供を受けた日)から起算して 60 日以内の、できる限り短い期間内で支払期日を定め、その期日までに支払います。60 日はあくまで上限で、「60 日ぎりぎりが標準」という意味ではありません
- 期日を定めなかった場合: 成果物を受け取った日が支払期日とみなされます
- 60 日を超える期日を定めた場合: 受領日から 60 日を経過する日が支払期日とみなされます
- 検査や請求書の提出に関わらず適用される: 起算日は検査をするかどうかを問わず受領日で、「請求書がまだ届いていないから支払わなくてよい」ともなりません。請求書の提出の有無にかかわらず、支払期日までに支払うこととされています(公正取引委員会 フリーランス法Q&A・2026-08-26 確認)
例外はひとつです。発注者自身が他の事業者から受けた業務をフリーランスに再委託する場合で、再委託である旨・元委託者の名称・元委託業務の支払期日をあらかじめ明示したときは、元委託の支払期日から起算して 30 日以内の、できる限り短い期間内で支払期日を定めることができます(前掲 特設サイト)。
このルールが義務として課されるのは、発注側のうち「特定業務委託事業者」に当たる事業者、つまり従業員を使用する個人や、従業員を使用するか役員が 2 人以上いる法人です。従業員を使用しない発注者には支払期日のルールは適用されず、取引条件の明示義務のみが課されます。ご自身の取引が対象になるかどうかの細かい当てはめは、公正取引委員会のフリーランス法 Q&A でご確認ください(前掲 Q&A)。
では、「月末締め翌月末払い」のようなふだんの支払いサイトは、この 60 日に収まっているのでしょうか。次の表で数えてみます。
支払サイト別に見る 60 日ルールとの関係【対照表】
日数は、成果物を受け取った日を 1 日目として数えます(受領日を算入します。前掲 フリーランス法Q&A)。月初の 1 日に納品した分が締めまでいちばん長く残るので、その場合の日数で比べると、主な支払いサイトと 60 日ルールの関係は次のとおりです。
| 支払いサイト | 支払までの最長日数(月初の 1 日に受領した場合) | 60 日ルールとの関係 |
|---|---|---|
| 納品後 30 日以内 | 30 日 | 収まる |
| 月末締め翌月 10 日払い | 約 41 日 | 収まる |
| 月末締め翌月末払い | 約 62 日(31 日の月) | 月単位の締めは「受領日から 2 か月以内」と運用され、問題ない扱い |
| 月末締め翌々月 10 日払い | 約 72 日 | 収まらない(受領日から 60 日を経過する日が支払期日とみなされる) |
| 月末締め翌々月末払い | 約 92 日 | 収まらない(同上。対象取引ではサイトの見直しが必要) |
機械的に数えると、月末締め翌月末払いでも、7 月 1 日に受領した分の支払いが 8 月 31 日になるように、31 日の月では最長 62 日となって 60 日を超えます。この点について公正取引委員会は、月末締め翌月末払いのような月単位の締切制度をとる場合は「受領日から 2 か月以内」として運用し、大の月で 60 日を数日超えることはフリーランス法上問題としない、という考え方を示しています(前掲 フリーランス法Q&A)。月末締め翌月末払いが広く使われ続けているのは、この運用に収まっているためです。
一方、月末締め翌々月 10 日払いや翌々月末払いは、この運用でも 2 か月を超えるため、フリーランス法の対象になる取引では 60 日ルールに収まりません。この場合、当事者がどんな期日を合意していても、受領日から 60 日を経過する日が法律上の支払期日とみなされます。発注側でこの形のサイトを使っている場合は、フリーランスへの発注分について支払いサイトの見直しが必要になります。受注側にとっては、取引開始時にサイトを確認するときの物差しになります。
受注する側にとっての意味
このルールは発注側の義務ですが、受注する側(フリーランス)にとっては「支払いを求めるのは当然の権利」という制度的な裏付けになります。「期日を確認するのは催促がましくて気が引ける」と感じる方もいますが、支払期日は法律で保護された取引条件のひとつです。取引開始時に支払いサイトを確認し、請求書に期日を明記することは、遠慮すべきことではなく通常の実務です。
支払期日を過ぎても入金がないとき
期日を過ぎても入金が確認できない場合は、いきなり強い調子で催促するのではなく、事務的な確認の連絡から始めるのが実務的です。「請求書は届いていますか」「お手続きの状況を確認させてください」といった一言で、請求書が迷惑メールに入っていた・担当者が変わっていたなどの行き違いはたいてい解消します。このとき、そもそも自分が請求書を送り忘れていた可能性の確認も忘れずに(確認の進め方は請求書の出し忘れチェックリスト)。
確認の連絡をするときは、送った請求書の控えがすぐに出せると話が早く進みます。控えの保存の仕方は電子帳簿保存法での請求書の保存方法で解説しています。入金を確認できたあとで、先方から領収書を求められることもあります。但し書きの書き方は領収書の但し書きの書き方を、請求書まわりの実務全体を通しで確認したい方は個人事業主の請求書ガイドをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 支払期日は請求書の発行日から数えるのですか?
いいえ。フリーランス法のルールでは、起算点は請求書の発行日ではなく発注事業者が成果物を受け取った日(役務の場合は提供を受けた日)で、受け取った日を 1 日目として算入します。請求書の提出が遅れても、この起算点は変わらないとされています(前掲 フリーランス法Q&A)。
Q2. 「月末締め翌月末払い」は 60 日ルールに違反しませんか?
月末締め翌月末払いのような月単位の締切制度は、公正取引委員会が「受領日から 2 か月以内」として運用する考え方を示しており、31 日の月で 60 日を数日超えてもフリーランス法上問題としない扱いです(前掲 フリーランス法Q&A)。一方、翌々月払いはこの運用でも収まらないため、対象になる取引では見直しの対象になります。
Q3. 自分は発注する側ですが、フリーランス法の対象になりますか?
フリーランス(従業員を使用しない個人など)に業務委託をする発注者のうち、支払期日のルールを含む義務が課されるのは、従業員を使用する個人や、従業員を使用するか役員が 2 人以上いる法人(特定業務委託事業者)です。従業員を使用しない発注者には取引条件の明示義務のみが適用されます。委託する業務の内容や期間によって課される義務の範囲が変わるため、詳細は公正取引委員会のフリーランス法特設サイト・Q&A で確認できます。
Q4. 法人間の取引にも 60 日のようなルールはありますか?
あります。企業間の製造委託・役務委託などを対象とする法律として、2026 年 1 月に下請法(下請代金支払遅延等防止法)から改称・施行された取適法(中小受託取引適正化法)があり、こちらにも受領日から 60 日以内に代金の支払期日を定めるルールがあります(公正取引委員会 取適法 Q&A・2026-08-26 確認)。対象になる取引の範囲(資本金や従業員数などの基準)はフリーランス法と異なるため、公正取引委員会の取適法の案内でご確認ください。
Q5. 期日どおりに入金されましたが、請求額より少ない金額でした
報酬の種類によっては、支払側が源泉徴収をしたうえで支払うため、請求額より入金額が少なくなることがあります。対象になる報酬かどうか・いくら差し引かれるのかはフリーランスの源泉徴収の計算方法で確認できます。振込手数料をどちらが負担する合意だったかも、あわせて見直してみてください。
Q6. 支払期日を過ぎたら、すぐに法的手段をとるべきですか?
まずは事務的な確認の連絡から始めるのが実務的です。行き違いで支払いが遅れているだけのケースも多いためです。確認しても支払われない場合の相談先としては、フリーランス・トラブル110番などの公的な相談窓口があります。状況に応じて専門家にご相談ください。
まとめ: 支払期日は「合意で決めて、日付で書く」。フリーランスへの発注は 60 日が上限
- 支払期日は取引先との合意(支払いサイト)で決め、請求書には具体的な日付で記載する
- フリーランスへの発注では、フリーランス法により、支払期日は成果物の受領日から起算して 60 日以内・できる限り短い期間内とされている
- 期日を定めなかった場合は受領日が、60 日を超える期日を定めた場合は受領日から 60 日を経過する日が支払期日とみなされる
- 月末締め翌月末払いは「受領日から 2 か月以内」の運用に収まり、問題ない扱い。翌々月払いは収まらない
- 期日を過ぎても入金がないときは、事務的な確認の連絡から始める
次のステップ
- 取引先との支払いサイト(月末締め翌月末払い等)を確認し、請求書に具体的な日付で明記する
- フリーランスとして受注している場合、支払いサイトが受領日から 60 日(月末締めなら 2 か月)以内に収まっているか、受領日を 1 日目にして数えてみる
- 期日を過ぎても入金がない場合の確認連絡の文面を、あらかじめ用意しておく
請求書に支払期日をきちんと入れるなら
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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。フリーランス法・取適法の個別の取引への当てはめは公正取引委員会の案内・Q&A や弁護士等の専門家に、税務の取り扱いは所轄の税務署・税理士等にご確認ください。
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